5/4(土)
ぶちかましてやろうかと思います。
私の考える技術体系には、ある原則があります。
エキセントリックな事前緊張を絶対に作らない。
もっとわかりやすく言うなら、捻る→捻り戻す、伸ばす→弾く、というような動作は、絶対にしない。
求める力の方向に対して、逆方向に力を事前に加えるという、非循環往復運動は、しない。
具体例を挙げるなら、投げる前に肩を無理に入れない。クロスで右腰を積極的に前に入れて体幹に捻りを作ったりしない。
なぜか。
こういう風に考えてください。
ゴムの素材を束ねたものを捻る。ひたすら捻る。雑巾を絞るかのように捻る。
捻る手を離してみる。すさまじい勢いで捻り戻しが始まる。しかし、一番勢いが
あるのは捻り戻し直後で、惰性で捻り戻しは続くものの、捻る前の状態に戻るとき、勢いは0になる。
捻り戻しは、運動の末端にはさほど効果が出ない。加速がない。運動は捻り戻し直後にすべて終わっている。
じゃあ、これはどうだ。
しなる棒がある。その末端を持って、思いっきり振る。反対の末端は、持っている側の末端に追いつこうとするように動く。
追いつかないようにひたすら持っている側の速度を上げる。ここに「しなり」が生じる。
持っている側の末端を急減速する、方向を変える、のいずれかの操作で、しなりは消え、反対の末端は一気に追い抜く。
ここでの最大の特徴は、しなりが消えた瞬間、勢いが一番ある、ということだ。
むちで音を鳴らす感じだ。
基本、すべて動き続けているわけだから、音がなる瞬間まで、力はどこかに加え続けられている。
間違えてはいけないのは、末端を止めると、しなりの戻りは大して起こらない。
この「しなる棒」と、「捻ったゴム素材」が異なる点は、前者は力を加える手と末端の力の方向が基本同じなのに対し、後者は加える力と作用する力の方向が逆。
共に「しなり」だの「弾性エネルギーを利用した動作」だのと表現されることが多いが、似て非なるものである。
野球のピッチャーの肩前面の筋電図を計測した論文がありまして、球速が速い被験者ほど「反対方向に筋が収縮する」ことが少ない、のだそうな。
自分が肩や肘を痛めまくった頃、往復運動のような肩の使い方に疑問を持ちまして、このような研究成果を見つけました。
さらに、体幹(骨盤)の捻り→捻り戻しって、日本全国規模で見ると、さほど基本と思われていない。
クロスで右脚を積極的に前に持ってくることはどこでも推奨されている。しかしそれは右腰ではない。
腰ラインはクロスステップでは動かさず、投げ動作ではじめて積極的に動かす、という考えも根強いのだ。
その方法だと、動き出してから生じる遅れをしなりとしている。そして、「ブロック」が機能して初めてしなりが弾ける。
このときの「ブロック」は、実はブレーキではない。急激な方向転換で、実際は止まっていない。
動作としては、跳躍動作の踏み切りに酷似する。
身体全体が高い速度で動き続けて、末端が追い抜いていくような動作を理想とする。
末端が追い抜くきっかけは、「ブロック(=急激な方向変化、それに伴う原則も含む)」で起こす。
末端が追い抜いて自然にしなりができるように、関節可動域を高める。
私が考える理想的な動作は、こんな感じです。
今まで教わった人ならわかると思います。
わたしはぶれません。かかってこい。
小瀬談